電車の中で痴漢をされたことがある女性は少なからずいると思います。
満員電車ではなかなか防止することの難しい痴漢。
弱い女性の立場を利用した悪質な犯罪者に罰を与えたいところ。
しかし、その痴漢撲滅のためのポスターが、偏見助長と批判されています。
目次
あの人逮捕されたらしいよ
その痴漢撲滅ポスターの内容というのが、大きく「あの人、逮捕されたらしいよ。」と書かれています。
そしてLINEのような女性2人のトークが書かれています。
A「聞いた? あの人、痴漢で捕まったらしいよ。」
B「えwwwwwwwww」
A「本当本当!さっきネットニュースで見た!!そんな人に見えなかったわ」
B「気持ち悪 軽蔑だわ 性犯罪者じゃん」
A「仕事もクビになるよねー。家族も悲しむだろうなあ」
B「そりゃそうだわ 私は一生関わりたくない」
A「この先どうなっちゃうんだろう…」
B「そういえば……私先月あの人と電車で偶然会ったよ」
A「そうなんだ?! 変なことされなかった?」
B「あの時は何もなかったけど」
「なんかもう、あの人のこと思い出したくもない」
A「女性の私たちも被害に遭わないよう気をつけなきゃね」
痴漢容疑で捕まえられた人と知り合いのような女性2人のやりとりですが、これが大問題です。
痴漢容疑で逮捕されてもまだ犯罪者ではない
弁護士の解説では、たとえ痴漢して捕まったとしても、逮捕されたところではまだ推定無罪といって、裁判で有罪が確定するまでは無罪と推定されるのが原則です。
だから、捕まっただけではまだ有罪ではないのです。
しかし、このポスターの内容では逮捕されただけですでに犯罪者扱いをしています。
逮捕されたとしても、その人が本当に犯罪を犯しているかわかりません。
あくまで容疑者として逮捕しているだけです。
それから本当に犯罪を犯したのかどうか調べて、裁判をして有罪か無罪か決まります。
それまでは無罪として扱わなければいけないのは、世界共通の原則です。
ですが、痴漢撲滅ポスターでは「性犯罪者じゃん」と書いてしまっていますから、有罪者として会話が書かれています。
逮捕=有罪ではないので、これは大変誤解を受けます。
痴漢にあわないために
満員電車に乗ると、どうしても痴漢にあってしまう可能性はあります。
痴漢に合わないようにするためには、やはり体型を強調するような服はさけたほうがいいのかなと思います。
しかし、スーツをきてても痴漢にあったことがあるので、一概にどんな服を着ていたら痴漢にあわないのかと言えません。(痴漢にあるときはどんな服装でもあってしまいます)
よく「被害者も落ち度がある」という人がいますが、本当にそうなのでしょうか?
前述のとおり、わたしは出勤中のスーツで満員電車でないのに股間を触られた経験があります。
容姿はというと、黒ぶちの大きな眼鏡をかけたとりわけ美人でもない田舎の女です。
痴漢にあったときは「顔で選べよ笑」と後で思いましたが、その時はとても怖かったですね。
触られていてもすぐには気付かないんです。
徐々に違和感があって、あれ?わたし何されているんだろうと。
だんだん触られてる!と思ったら恐怖心がでてきます。
わたしは幸運にもすぐに駅についたので急いでおりました。
声もだせませんでした。
嫌な思いしていても、声もだせないのです。
なので、「被害者にも落ち度が」というのは二次被害です。
とても傷つきます。
まとめ
痴漢撲滅するのにポスターで注意喚起するのはいいのですが、絶対に被害者をさらに傷つけたり、冤罪で逮捕された人を傷つけることは絶対いけません。
デザインした人も疑問に思わなかったのか、GOサインを出した人も何も思わなかったのか。
こういうのは自分がその人の立場になって考えてみたらすぐにわかることと思います。
もし、冤罪で捕まったときに、まだ裁判で有罪でもないのに「犯罪者」って呼ばれるのはとても辛いことです。
冤罪でも痴漢で捕まった人の家族は大変な目に合います。
離婚や別居、ひどい場合は自殺など、免罪で無罪になってもずっと犯罪者扱いをされたり。
その辛い気持ちがわからないのであれば痴漢なんで世界が終わるまでなくならないのだろうなと思います。