嘘の証言ができない証人喚問ですが、証言をして自分が不利になると思ったら証言の拒否はできるのか?
裁判では黙秘権で、何を聞かれても黙ることが許されますが、国会で行われる証人喚問ではどうなのでしょうか。
目次
民事訴訟での証人喚問
民事訴訟では、証人喚問において以下の場合に証言を拒否できます。
・自己や親族(配偶者、4親等内の血族・3親等内の姻族(これらの関係にあった者)、後見人、被後見人)が刑事訴追を受け、または有罪判決を受ける恐れがある事項や、これらの者の名誉を害すべき事項(民事訴訟法196条)
・公務員の職務上の秘密(民事訴訟法197条1項1場)
・医師、歯科医師、薬剤師、医療品販売業者、助産師、弁護士、弁理士、弁護人、公証人、宗教・祈祷・祭祀の職にあたるもの(これらの職にあった者)が職務上知り得た事項で黙秘すべきもの。(民事訴訟法197条1項2号)
・技術または職業上の秘密に関する事項。(民事訴訟法197条1項3号)
さらに司法書士、行政書士、公認会計士、税理士など、法令上の守秘義務を有する場合に関しても証言を拒否することができます。
事例として、新聞記者の主財源に関して「職業上の秘密」に該当するとして、証言拒絶権を認めた下級審の裁判例があります。
(札幌高決昭和5年8月31日、北海道新聞島田記者事件)
刑事訴訟での証人喚問
刑事訴訟で、証人喚問において以下の場合に証言を拒否することができます。
・自己や親族(配偶者、3親等内の血族・2親等内の姻族、後見監督人、保佐人、被後見人・被保佐人)が刑事訴追を受け、または有罪判決を受ける恐れがある証言。(刑事訴訟法146条、147条)
・医師、歯科医師、助産師、看護師、弁護士、弁理士、弁護人、公証人、宗教の職にあたる者またはこれらの職にあった者が職務上知り得た事実で他人の秘密に関するもの。(民事訴訟法149条)
民事訴訟の事項で、新聞記者の主財源に関しての証言拒否権は民事では認められましたが、原稿刑事訴訟法に証言を拒むことができる場合として列挙されていないことから、証言居県は認められないとされました。
民事と刑事で証言の拒否権の扱いが違うので注意が必要ですね。
証人喚問における証言拒否
国会で行われる証人喚問での証言の拒否はどうなるのでしょうか。
証人喚問において以下の場合に証言の拒否が認められます。
・自己や自己の親族等(配偶者・3親等内の血族、・2親等内の姻族(これらの関係にあった者)、後見人・後見監督人・保佐人、被後見人・被保佐人)が刑事訴追を受け、または有罪判決を受ける恐れがあるとき。(議院証言法4条1項)
・医師、歯科医師、薬剤師、助産師、看護師、弁護士、弁理人、公証人、宗教の職にある者またはこれらの職にあった者が業務上委託を受けたため知り得た事実で他人の秘密に関するもの。(議院証言法4条2項)
となっています。
これらにあてはまる証言は拒否できるというわけですね。
証言すれば自分や親族が刑事罰を受ける可能性があった場合は拒否できる。
職業上で守秘義務がある人が知り得た情報の証言を拒否できるのは賛成しますが、自分が自分の親族が刑罰を受ける可能性があるから証言を拒否できるのはちょっと証人喚問の意味がないと思いますね。
まとめ
国会での証人喚問は裁判ではないですが、TV中継されるため出頭された人はとても緊張するのではないかと思います。
ごくまれに嘘を平気で言う人もいますが、証人喚問の前に宣誓書にサインをします。
しかし、すべてを証言しないといけないわけではないようです。
上で述べましたように、条件によっては証言を拒否できます。
裁判でも警察の調査でも、黙秘権がありますね。
法律は自分で調べて、権利があるなら主張しましょう。
知らないでは自分も自分の親族も不利になってしまいます。
証人喚問の証言は拒否できることもある。